クサいところ 2006-04-12
「ヤツの足取りを見失いました。」
「なんだと?」
「もうしわけありません、。すべての追跡が空振りです。」
「馬鹿な! 探せ、もう一度、クサイところから探せ!」
「は、しかし、まるで消えたみたいに気配すら消えてしまって・・・・・。」
「なに、消えただと?」
「本当に消えるわけないですし、どこかにいるはずです。」
「待て、わからんぞ、本当に消えたのかもしれない。」
「馬鹿な、人間が消えるなんてことあるわけないじゃないですか。」
「いや、問答無用で消えてしまうことだってあるかもしれない。」
「何を馬鹿なことを言ってるんですか!」
「馬鹿なと思うんなら、お前、説明してみろ!」
「なにを?」
「消臭剤に消された臭いはどこへ行くんだ?」
「は?」
「消臭剤に消された臭いはどこへ行くんだ? さっきまでそこにあった臭いは消臭剤に消された後、どこに行くんだよ?」
「さ、さあ?」
「口臭スプレーで消えた臭いはどこへ消えるんだよ!」
「・・・・・わかりません。」
「たぶん、俺たちにはわからない、亜空間みたいなところに行くんだよ。」
「は、はあ。」
「だからきっとヤツも、`そこ’へ消えたんだよ。」
「え? `そこ’ですか?」
「そうだ。」
「その・・・・・、消臭剤に消された臭いと一緒にですか?」
「ああ、口臭もな。」
「それは・・・・・、すごいというか、なんていうか・・・・・・。」
「きっついだろうな。」
「あの、そんなの、どうやって探したらいいんですか?」
「だからさっき言っただろう、`クサイところを探せ’って。」