かおなし=Faceless

日常だったり雑談だったり妄想だったり

2007-12-24 守護聖人

 「
 いいかい子供たち、よくお聞き。
 クリスマスというのはキリスト教のお祭りでね、サンタさんというのは本名はニコラスといってね、キリスト教徒からはセントニコラスと呼ばれて敬われているキリスト教守護聖人の一人なのさ。
 守護聖人ってなにかって? たぶん守護というからにはキリスト教を守る聖人なんじゃないかな。ほら、仏教でいうところの毘沙門天とか持国天とかああいう感じだね。だからサンタクロースの服が赤く染まっているのは戦いの証で返り血に染まっているんだよ。異教徒狩りとか大変だったんだろうね。聖ヨハネ騎士団が聖ニコラ(ス)要塞に立てこもってイスラム教徒と闘ったのもそういう因縁の一つだろうね。
 靴下へのプレゼントというのは彼が煙突の中に投げ込んだコインが暖炉に乾してあった靴下の中に入り込んだエピソードからきている。
 恐ろしいじゃないか。きっと彼は異教徒狩りで皆殺しにした家になんの目的でこんなことをしたのかを知らしめるためにローマ法王の肖像が刻印されたコインをその証として残していったんだ。さあ異教徒どもよ、次にこのコインをプレゼントされるのは貴様らだ。改宗して我に従うか、神の慈悲としてこのコインを受け取るか二つに一つだ。
 ほら、気をつけるんだ。
 彼は煙突からこの家に忍び込み、コインを片手に異教徒を皆殺しにやってくる。返り血で赤くてらてらと染まって光る服にぎざぎざの歯のついたナイフを隠してる。背中の袋には異教徒達から剥ぎ取った戦利品の山。本国に帰ったらその戦利品の山は子供達にプレゼントとして分け与えるのさ。
 ああ、いけない!
 もうこんな時間だ!
 来る! ヤツが来る!
 ああ、なんだ今屋根の上からした音は?
 逃げるんだ子供達!
 ここは私が食い止めよう。
 さあ、聖ニコラスよお前の思い通りになどさせないぞ!
 ぐはあぁっ・・・・・、く、くそ、そう簡単にやられてたまるか!
 でやぁ! とうぁ! でぇぇぇい!
 はあ、はあ、はあ、やった。聖ニコラスを倒したぞ。
 『ふははははは!』
 な、なんだこの笑い声は?
 『ほほう、異教徒よ聖ニコラスを倒すとは思いの外やるではないか。』
 『しかし、ヤツは我ら26守護聖人の中でもっとも弱き者。』
 な、なんだと?
 『次にあった時には我らの内の一人がその命、無惨に摘み取ってくれようぞ。』
 『ふははははは・・・・・・』
 『はははは・・・・・』
 」

 

 「で、ナカムラさん。この下らない一人コントはいつ終わるの?」

 「えー、ここからがいいところなのに!」

 

 

魅力 2007-05-27

 恥ずかしげにもじもじしている女性を見るとたまらない。

 

 フェチズムの話ではない。
 見た目の美しさ、綺麗さよりも女性の魅力の本質は「可愛げ」があるかどうかではないかと思う。
 造形の美よりもふとした仕草や言葉から漏れる雰囲気に多くのモノを感じ、その表情から受ける印象は強い。
 もちろん「美しさ」という魅力を否定もしない。
 一瞬見せたような表情に「美しさ」を覚えて胸を突かれることもあるだろう。
 しかし、やはり日常の中でかいま見るムキになる姿だとか、嬉しそうな笑顔だとか、照れた表情とか、そういったモノの中に可愛げを感じると、それは心の中を通り過ぎる一瞬ではなく積もりゆく魅力であるのではないだろうか。

 

 

 恥ずかしげにもじもじしている女性を見るとたまらない。
 見ているだけではたまらなくなりそっとその耳元にささやいてしまう。

 「トイレはあっちですよ」

 

 

フランダースの犬 2007-08-06

 ベルギーフランドル地方のとある村、そこに一人の少年がいた。
 少年の名はネロ。絵を描くのが好きで祖父と親友のパトラッシュと慎ましく暮らしていた。やがて祖父が天寿をまっとうしこの世をさるとネロは天涯孤独の身となった。ネロは幼い頃からの夢である画家を目指そうと心に誓い、コンクールに向けた作品の制作にとりかかる。
 祖父はネロが画家になることに反対していたが、その祖父がいなくなりネロの夢を止めるものはいなくなった。むしろ歯止めがなくなったとも言えた。
 ネロは村一番の金持ちコゼツの家へ向かった。コゼツの家にはコゼツの娘で幼なじみの少女アロアがいる。
 ネロはアロアに絵のモデルになってくれるよう頼んだ。
 ポーズはネロが考案した前衛的で挑発的なポーズだった。そしてなにより、ヌードモデルだった。
 ネロはコゼツの家から叩き出された。
 しかしネロはあきらめなかった。ネロは自分の芸術が理解されないことを嘆きはしたもののアロアのヌードをあきらめなかった。なにしろ年少の身でありながらコンクール優勝を目指す野心家であったから自分の絵の才能に対する自負心が強かったのだ。
 コゼツは日に日にやつれていった。
 アロアをつけ狙うネロの存在がコゼツに激しい心労を与えていた。ネロのアロアに対するスト-キング行為はエスカレートする一方だったのだ。コゼツは金持ちだったから自警団を雇いネロがアロアに近づけないようにした。しかしネロにとってコゼツの家は幼なじみアロアの家、勝手知ったる他人の家だ。自警団の目を盗んで近づくなことなどネロにとってはたやすいことだ。コゼツもアロアもヌードを描くことに異様な執念を燃やすネロを非常に恐れ警戒していたが、残念なことにネロの絵は着々と完成に近づいていた。
 ネロは誰にもばれないよう村の風車小屋に絵を隠し、こっそりコゼツの家に忍び込んではアロアの様子を盗み見し絵(ヌード)を完成させていった。
 しかし秘密はばれる。こそこそと風車小屋へかようネロを不審に思った村人に絵を書いているところを見られてしまったのだ。
 アロアは泣いた。さすがに少女にとって自分の裸が描かれ、あまつさえそれがコンクールにだされ衆目にさらされるとあってはショックが大きすぎる。
 コゼツは激怒した。すぐさま自警団を率い風車小屋へ向かった。
 狡猾なネロはすでにこのような場合を想定しており、習作として書いたコンテを一枚余分にとっておいたものに簡単に色づけし、その絵を風車小屋に残しコンクール用の絵だけを手に風車小屋から逃げ出した。
 怒りに燃えるコゼツは風車小屋につくとネロや絵を探す手間をかけずすぐさま火を放った。ネロは先に逃げていたので助かったが残された絵筆や習作はのこらず燃えてしまった。
 習作をダミーにして絵を完成させるつもりだったのに風車小屋ごと燃やされてしまったために絵の道具を失ってしまいネロは絵を完成させることができなくなってしまった。ネロは仕方なく未完成の絵でコンクールに応募することとなった。
 コゼツは風車小屋ごと燃やしたことでもう大丈夫だと安心していたのだったがネロが未だ生きていることを知ると自警団の連中を丸め込み、風車小屋が火事になったのはネロのせいだと証言させた。これ以上ネロをアロアに近づけさせないためにネロを村から追放しようと考えたのだ。
 ネロは無実を訴えたが村人たちの反応は冷たかった。普段のネロの素行がものを言ったのだ。さらにネロに追い打ちをかけるようにコンクールの通知が返ってきた。結果は落選だった。
 ネロは村での生活に絶望し村を飛び出した。ヤツらがじゃまさえしなければアロアのヌードは完成し、コンクールでの優勝は間違いなかったのに! それにしたって審査員たちも見る目がない。たとえ未完成といえどこの絵をみれば僕の才能がどれほどのものかわかるはずだ!
 いったいこの絵のどこが入選にふさわしくないというのか。
 ネロはコンクールが終わり返却された絵を手にアントワープに向かった。そこには有名なルーペンスが画いた聖母像がある。僕の画いたアロアとルーペンスの聖母、いったいどんな優劣があるというのか。もし僕のアロアがルーペンスの聖母に劣らないのなら、聖母像を引きずり下ろしかわりににこのアロアのヌードを飾ってやる。いや、アントワープの大聖堂にはむしろこのアロアの方がふさわしい。大聖堂を訪れたものはみなその敬遠なる頭をアロアのヌードの前にさげ、そして跪くのだ。
 ネロがアントワープに向かったことを知ったコゼツはすぐさま追っ手を向かわせた。なんとしてもネロの狂気を止めなくてはならない。もはやアロアはショックから立ち直れずろくに口もきけず立ち上がることすらままならないほどに衰弱してしまった。もはや父が父としてアロアにしてやれることは娘の無念を恨みを晴らし、これ以上のはずかしめをうけないようにしてやることだ。
 雪が降る深夜、ネロはアントワープの大聖堂に狂気とともにたどり着いた。わき上がる感情、これは狂気か、それとも歓喜か。
 渦巻く感情を纏わせた右手を大聖堂の扉のノブにかける。しかしその時、ネロを止める者がいた。その者は扉を開けようとするネロを後ろから引っ張り扉から引きはがした。ネロが驚いて振り向くとそこにはかつての親友パトラッシュがいた。ネロはすぐに悟った。おそらくはパトラッシュがコゼツの放った最後の刺客、ネロを止めるための追っ手なのだと。
 残念だ。よりによってこの僕を最後に阻むのが親友の君だなんて。だけど無駄だ。たとえパトラッシュだってこの僕を止めることなどできはしない。最初から君の正体はわかっていたんだ、このフランダースの犬(手先)め。帰ってヤツに伝えるがいい。僕は貴様の思い通りになどならないと。
 すでに正気を失い扉に再びとりつくネロ、そしてそれを止めようとするパトラッシュ。二人はもつれ合い、つかみ合い大聖堂の扉の前を転がり、扉の前の石段から落ちた。
 しばらくしてネロは目を覚ました。どうやら石段から落ちた拍子に気を失っていたらしい。体がすっかり凍えてしまっている。横にはネロと同じようにパトラッシュが倒れている。二人の体の上にはうすく雪が積もっている。ネロは大聖堂の扉の方へ震える手を伸ばした。だけどその手には力が入らずもう何もつかめなかった。
 何かつかみたかった。最後に一目だけでもルーペンスの絵が見たかった。僕がつかめなかったモノがなんなのかを知りたかった。
 どこで僕は間違ってしまったんだろう。もう手を伸ばしても届くのはどんどん冷たくなっていく親友のパトラッシュのぬくもりだけだ。それももうすぐ失われてしまう。
 なにを僕は間違ってしまったんだろう。
 ごめんよアロア、僕は大好きな君を画いてみんなに認めて貰いたかっただけなのに。
 ネロはパトラッシュと抱き合うようにして目を閉じた。最後にパトラッシュのぬくもりだけがネロの手の中に残った。
 そして静かにそれを見守り、その場を立ち去る者がいた。その手にはネロが画いたアロアの絵。
 フランダースは絵を手に立ち去り、振り返ることはなかった。すでに目的は果たした。後は偉大なる祖国、大いなる帝国イギリスへ向かうだけだ。

 

 

 

 後日、ネロが住んでいた村に一報が届く。

 実はコンクールで手違いがあり、ネロに届いた落選は間違いだった。ネロが描いたアロアはコンクールで上位入選を果たしていたのだ。

 ネロが描いたアロアは当時の封建的で男尊女卑の世相に挑戦するかのような女性の解放と美を謳う画期的な絵だったのだ。

 村にその知らせとともに訪れたコンクールの係員は村人たちにネロとその絵の所在を尋ねた。しかしネロの所在について答えることのできる者はおらず、絵の行方も全くわからなかった。

 

 完

 

 

 

フランダースの謎 2007-08-05

 やはりフランダースの犬は謎だ。
 WEB上でちょっと調べてみたところ、作者はイギリス人でベルギーフランドル地方の話らしい。
 主要な登場人物は画家を目指す少年ネロ、ネロの祖父、飼い犬パトラッシュ、村の金持ちコゼツ、その娘アロア。
 ネロは祖父が亡くなった後天涯孤独の身となる。なんとかアルバイトをしながら絵描きを目指し細々と生活をしていたが風車小屋が火事になった時、放火犯の疑いをかけられ生活に困窮し、また絵画コンクールに落選したことで絶望し、村を飛び出しアントワープの大聖堂に飾られているルーペンスの絵の前で死を迎える。
 謎だ。
 だいたいネロは本当に画家になる気があったのか?
 ネロは未だ少年、一度や二度コンクールに入賞できなかったからといって絶望していたらきりがない。コンクールには才能を持ち、その上で努力と研鑽をつんだものが多く応募するのだ。中には一度や二度の挑戦で入選するものもいるだろうがそれは特殊な例に過ぎない。画家は才能を努力で磨き、自分が描きうる世界を表現できるようになってこそだ。
 以上のことから少年ネロは、実力以上の自負心を持った思い上がりの強い性格であったと考えられる。また自分の努力をその価値以上にひけらかし、努力にたいし自分が思っているにふさわしい対価が得られないと不満に思う、おそらく友達にしたら嫌なタイプに違いない。
 またフランドル地方の村における自治活動はいったいどういうものなのか。いったい天涯孤独の少年が明日の食事も保証されないほどの困窮に追い詰められなければならない村とはどういうことなのか。放火犯の疑いをかけられたといっても疑いは疑いである。容疑が確定した犯罪者ですら牢獄で食事は出されるというのに、嫌疑をかけられたに過ぎない一少年が職を失い食べ物すら得られないとはさぞかし残虐な地方なのであろうか。
 おそらく村ぐるみでネロを迫害する目的があったとしか思えない。ネロは何かのスケープゴートに利用されたか、それとも隠蔽すべき秘密のために生け贄とされたか、どちらにしても陰湿な村だ。それともベルギーが舞台なのに作者はイギリス人ということは帝国主義イギリスによる巧妙なプロパガンダ活動の一環という線もある。

 

 そしてやっぱり姿を現さないフランダースとはいったい誰なんだ?

 

 こうなったらフランダースの犬を自分で納得がいくように書いてみるしかない。
 とりあえず謎というかポイントは

・ネロはどうして簡単に絶望したのか。
・ネロはどうして迫害されたのか。
・どうしてアントワープへ向かったのか。
フランダースが出てこない。

 

 本当の話は知らないけど、大筋で似ていたらいいなあ。

 

 

 

全く見たことがありません 2007-08-03

 有名らしいが「フランダースの犬」がどういう話であったかよく知らない。
 知っているのは登場人物が画家を目指す少年ネロとおそらくヒロインであろう少女アロア、そしてパトラッシュという親友がいたことと、火事があったこと、ラストはネロとパトラッシュがラストシーンで折り重なるように死ぬことくらいである。作中の台詞で知っているのは「僕はもう疲れたよパトラッシュ」というネロの台詞だけだ。何でこんな風に中途半端に記憶しているかというと、よくテレビやWEB上でパロディされているのを見聞きしただけの記憶しかないからである。
 タイトルが「フランダースの犬」というからには「犬」、とその飼い主であろうフランダースなる人物が物語の真なる主人公、でなければ重要なキーパーソンであろう。
 火事があったのが重要そうな事件であることから陰謀の匂いがする。
 ラストシーンがネロとパトラッシュしか登場していないのにも重要な意味があるに違いない。ヒロインであろうアロアがラストシーンに現れないのも何かの暗示だろう。
 そして犬の飼い主であろうフランダースはいったいいつ登場したのだろう? ひょっとしたらこいつが何かの黒幕なのではないのだろうか?

 

 

レプリカなGさん 2007-08-24

 昨日、ホームセンターに行ったらすごく派手なおじいさんがいた。
 すごく派手というのもおかしいんだけど、見た感じは75~80歳くらいのとてもやせたガリガリにやせているおじいさんだった。
 真っ赤なタンクトップと真っ赤な短パンをはいていた。
 そのファッションに思わず

 「冗談だろ?」

 と思ったのだけれどよく見たらどこかのレプリカユニフォームで背番号が23番だった。

 

 ジョーダンだろ?

 

 

最高の力 VS  2007-08-14

 「さあ今こそ決着をつけてやる!」

 「ふ、望むところだ。」

 「喰らうがいい、貴様を倒すために俺はこの世界で考えられるありとあらゆる最高の力を手に入れた。すべては貴様を葬るためだ! 俺が積み重ねた力、すべて貴様にぶつけてやる!」

 「それは俺とて同じこと。俺は貴様を倒すために、貴様を倒すためだけに、この世で考え得る限り最低な力を手に入れた!」

 「え゛?」

 「俺が積み重ねた恥辱。さあ、存分に味わえぃ!」

 「いやあぁぁぁぁぁぁ・・・・・-!」