かおなし=Faceless

日常だったり雑談だったり妄想だったり

ベルマーク委員会

 雨の夜に僕ははさみを使っていました。
 はさみを使って何をしていたかというと、チューイングガムの包装紙をチョキチョキと切っておりました。ベルマークを切り取っていたのです。
 ベルマークを集めるのが趣味というわけでもなければ、実は世の中にはヘビーベルマークコレクターがいてレアモノベルマークが高値で取引されているなんて裏事情もなく、ある程度たまったら学校の先生をやっている友達にあげようとか考えておりました。僕の友達は遠いところで養護学校の先生をしているのです。まあ千点くらいたまったら送ろうかな。今のところまだ百点あるかないかくらいです。


 ほら、1円玉が1個手元にあってもそれをたいした価値がないからといって捨てる人っていないでしょう。ベルマークって教育関係で1点=1円を基本価値として計算してベルマーク財団が援助をしてくれる制度なんです。だから僕にとってはベルマークってなんの価値もないものなんだけど人によっては1円の価値があるんです。だからベルマークを捨てるってのがずいぶんもったいないことのような気がしたんです。


 ほら、思い出してください。
 なんかベルマークって僕には懐かしい響きなんですが、みんなだってそうじゃないですか?みんなだって小学校のころ、ベルマークを学校の活動として集めていませんでしたか?
 僕が通っていた小学校ではベルマーク委員というのがいて一生懸命ベルマークを集めていました。生徒会が中心になってキャンペーンをやっていたりしました。あるときの生徒会長は小学校の全クラス、そのとき全学年で24クラスあったんだけど画用紙で「ベルマークを集めよう」と書いたポスターを教室の前と後ろに貼り、廊下や図書室、登校口なんかにも貼っていました。全部で70枚から80枚くらい貼っていたような気がします。そのおかげか千点くらいいつもより多くベルマークが集まって生徒会長がよろこんでいたのも覚えています。当時クラス委員をやっていた僕は生徒会に出入りしていたのでポスターのための画用紙を買いに行ったりして手伝っていました。


 雨の夜、ベルマークをはさみで切り取っていた僕は、あの時ポスターのために買いに行った画用紙は1枚30円くらいしたよなぁと思い出したらすごくせつない気分になりました。
 そして切り取ったベルマークをゴミ箱に捨てました。(そしてあとでまた拾いました)