記念写真の撮影者 2007-05-26
石川君が古い写真を見つけたというので見てみると、それは中学生の時、仲間で山へ登った時の写真だった。
写真の中には懐かしい顔ぶれが並んでいた。
あのとき一緒に行ったメンツを思い出してみる。みんな笑いながら写真の中にいた。残念ながら三脚なんてもの持ってなかったから僕が写真を撮ったので僕は写っていない。
懐かしい感慨にふけりながら写真を見ていたのだけれど、どうしても誰だかわからないヤツが一人写っていた。
・・・・・だれだこいつ?
何度思い出してみてもそいつが誰だかわからない。
山頂で撮った写真。あのとき山頂には僕たち以外には誰もいなかった。
あのとき一緒に行った仲間のメンツをよく思い出してみる。だけど一人多い。こいつだけ、誰だかわからないこいつだけ余分だ。
誰だかわからないこいつがなんでだか真ん中でうれしそうに笑ってやがる。
石川君に尋ねてみても石川君にもわからない。
いったいこいつは誰だ?
気味が悪い。誰だかわからないヤツが写真に写っているなんて気味が悪いじゃないか!
黙り込んでしばらく考えていたら、石川君がぽんと手を打った。
「なんだ、わかった。こいつ、お前だ。」
といいながら僕を指さした。
なんのことはない、よく見てみるとそれは僕だったのだ。中学の時から顔つきがずいぶん変わってしまったので、僕本人も石川君もわからなかったのだ。
なんだ、こいつの正体は僕だったのか。
当たり前だ、あのとき山頂には僕たちしかいなかったのだから。
わかってしまえばつまらない結末。
・・・・・あれ?