愛の試練 2005-11-15
それは異次元だったり異空間だったり過去だったり、まあうやむやのうちにいつのどこだかわからない話。
「姉さん姉さん、一つ尋ねるがいったいなにをしているのかね?」
「見ての通り弁当を作っている。」
「それはいったいなんのために?」
「今日は私の彼氏になるかもしれない男と出かけるのだ。」
「ほうほう、新しい彼氏と楽しいデートですか。」
「彼氏ではない、候補だ。それに楽しくなるかどうか相手の男しだいだ。」
「しかし、姉さん。今一度尋ねるがいったいなにをしているのかね?」
「見ての通り弁当を作っている。」
「これは弟からの提案だが、せっかく弁当を作るのなら美味しそうなものを、せめてまともに食べられそうなものを作るべきではないかと思う。」
「ふ、それは思慮が足りない。私のこの弁当を食べて不味いなどと思う男なら、この弁当を残さず綺麗に文句の一つも言わずに美味しく食べられるほどの者でなければ、この私に対する愛が足りぬ。そのような男、その場でこの弁当と一緒に廃品回収に放り込んでやるわ。」
「(その弁当、廃品なんだ・・・・・)。」
「ふ、そういうことだ、弟。」
「そうか、なら、その弁当はいわゆる試験なんだ。その弁当を美味しいと思って食べられる男だったら‘候補’から‘彼氏’に昇格するわけか。」
「たわけ! このような弁当を美味しいと思うような味覚の狂った男など気色悪くて付き合えるか! そのような男、その場でこの弁当と一緒に燃えないゴミに捨ててくれるわ。」
「(その弁当、燃えないゴミなんだ・・・・・)。」