かおなし=Faceless

日常だったり雑談だったり妄想だったり

夏が嫌い 2004-08-12

 暑い暑い。
 僕、彼女の部屋を訪れて、僕、彼女の部屋のドアを開けて彼女に挨拶します。

 「こんにちは。」

 彼女、部屋の中の彼女、ぼんやりしたまま返事をしてくれません。
 少し顔色が悪い彼女、僕、彼女のこと心配になって尋ねます。

 「今年の夏、すごく暑いけど体の調子はどう?」

 彼女、やっぱりぼんやりしたまた返事をしてくれません。
 ぼんやりしたままの彼女の手を取って、その白い肌、冷たい手の甲、ちょっとした悪戯心、西洋の貴族みたいにキスをする。
 けれどもやっぱり彼女の心、ここにあらず、ぼんやりしたまま何も言ってくれません。
 ああ、もう僕と彼女、お別れなのかもしれない。
 そう思ったとたん、彼女のこと、憎たらしくなる。
 出会った頃の彼女、とってもすてきないい匂いがしたのに、そう思ったら彼女からイヤなにおいがするような気までする。
 ああ、もうだめだだめだだめだ。
 もう彼女とは一緒に居られない。
 とってもすてきな彼女だったけど、とっても大好きな彼女だったけど。
 嫌い嫌い嫌い。
 彼女とはもうお別れ。
 嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い。
 夏は嫌い。
 せっかくの新しい彼女の部屋、大きな白い冷蔵庫、何の役にも立ちやしない。
 今夜、新しい彼女、街へ見つけにいかなくちゃ。