他所でやってくれ 2004-07-04
何が迷惑かって言ったら、第三者的裁定を求められたときだ。
先輩たち二人が口論していた。
声のボリュームとテンションは仲良くシンクロしながら鰻上りに上昇し、そのヒートアップぶりを恐れ同僚たちはそそくさと避難を始める者までいる始末だ。
喧嘩するほど仲がいい。
口論している二人は普段は仲がいいのだけれど、今日はまあ、常軌を逸していた。
やがて収まりが付かなくなった二人はジプシーのように口論しながら移動を始めた。そして行く先々で
「なぁ、お前はどう思う?」
と聞いてまわりだした。
それで口論が収束の方向へ向かえばいいのだけれどそんな様子はまったくなく、収まるどころかますますヒートアップした。
やがて二人は僕の近くまでもやってきた。
隣に座っていた同僚が意見を求めらる。
「おい、お前、今まで俺たち二人の話、聞こえてたろ。それ聞いていてお前としてはどう思う?」
しどろもどろに当たり障りのないことを答える同僚。
ダメだダメだ、そんな意見を言うからますます二人がヒートアップするんだ。言うべき意見や自分の考えはちゃんときっぱり言わなきゃダメだ。
「おいっ、ナカムラ!」
予想通りというか、順番というか、二人は続いて僕に声をかけた。
「お前はどうだ? 二人の話を聞いていてどう思った?」
仕方ないので僕の思う正直なところってやつを答えた。
「二人とも、騒がしくって迷惑だなぁって思いましたよ。」