かおなし=Faceless

日常だったり雑談だったり妄想だったり

自分の家族を変だと思っても、他人から見たら普通の範疇

 「俺の家族、変なんだよ。」
 と言う人の家族の話を、どこが変なんだろう? と聞いてみるとどこが変なのかさっぱりわからないということが多い。
 いや、その程度なら普通じゃない? みたいな。
 「ばか、うちの一家はもっと変だよ。」
 とまた別の人が言うのでその人の話を聞いてみると、ああ、うん、確かにすこーし変わってる、かもね、みたいな話だったり。
 みんな自分の家族はちょっと変わってると一様に思ってるけど、まあたいていはそんなのぜんぜんたいしたことはなくて普通ってことだ。

 

 僕などもうちの一家もごたぶんに漏れず変な一家だと思ってるのだけど、きっとそれも他人が聞いたら
 「あ、別に、普通じゃない?」
 ってな話になるんだろう。
 まあ僕がうちの一家の中で一番変わってると思っているのは母なんだけど、うちの母というのは言うことが狂ってる。
 本人はいたって普通のことを普通に話してるつもりらしいのだけど、狂ってる。
 僕の部屋、ものすごく散らかってる、散らかってて汚い。
 それを見て母が言う、
 「片付けなさい。」
 まあそれは普通、普通の話。
 でもね、うちの母、さらに言う。
 「あんまり散らかってると警察が来たとき恥ずかしいでしょう。」
 うおっ?! 警察? 警察が僕の部屋になんの用があるというですか?
 「あんたが家宅捜査を受けるとき、‘すいません、散らかってるんで’って言って帰ってもらうことになったら恥ずかしいでしょう!」
 か、か、か、かたくそうさく?
 狂ってる、狂ってる、何が狂ってるかっていったら、部屋が散らかってるという理由で家宅捜査に来た警察が帰ると思ってる。
 いや、その前に、僕がいったい何の理由で家宅捜索をうけるというのだ?

 

 で、うちの母は変だなあと僕は思っているのだけれど、それもきっと他の人が聞いたら
 「そんなの普通じゃねえ?」
 って言われるんだろうなぁ。
 きっと世間の母親ってのはみんな、自分の息子の部屋が散らかっていると、警察が家宅捜査に来たときなんて言ったら恥ずかしくなく帰ってくれるか心配してるんだろうなぁ。
 ま、そんな普通な話。