かおなし=Faceless

日常だったり雑談だったり妄想だったり

神話の世界

 昔々、あるところにオジイさん(*1)とオバアさん(*2)がいました。

 いつものようにオジイさんは山へシヴァ狩(*3)に、オバアさんは川へ宣託(*3)に行きました。

 オバアさんが川で宣託をしていると大きな桃(*5)が流れてきました。それはとても大きく一抱えほどもある桃でした。

 オバアさんはその桃を拾うと家に持って帰り、オジイさんに見せました。

 オジイさんはさっそく大きな鉈で桃を切ることにしました。

 オジイさんが桃を切ってみると、中から男の子(*6)が出てきました。

 

 

 



*1 ‘さん’付けされているが正確には「オジイ」という名の神。「昔々」の出だしで語られる神話によく出現するポピュラーな神。

*2 「オバア」という名の神。オジイ神とよくセットで神話に登場する女性神(?)。

*3 「シヴァ」とはヒンズー教の破壊と再生の神である。その最高神の一人であるシヴァを日常的に狩っていることからオジイ神がかなりの高位の神であり実力者であることがうかがえる。おそらく「オジイ神」はヒンズー教のヴィシヌの別称と推測される。

*4 川とはおそらく天之川であると思われる。そこで行われる宣託とは当然この宇宙の未来である。このことから「オバア神」とは宇宙意思を司るブラフマーの化身ではないかと言われる。

*5 ヒンズー教はインドの宗教であり、インドの北にはチベットまた崑崙山脈がある。その異様な大きさから見ても桃はおそらく崑崙山から落ちた仙桃と思われる。

*6 農協でも評判の崑崙農園の桃は無農薬栽培のため、油断すると寄生虫の桃太郎が発生するので要注意である。

 


 

 

 

 この後、オジイ神とオバア神は男の子を育てると、自分たちの敵対勢力である鬼の本拠地「鬼が島」へ放ち、桃太郎の害虫災害で鬼たちは食糧難で壊滅し物語りは大団円を迎える。